Final audio desgin (現:Final)より発売されていた名機「Heaven」シリーズの7作目にあたる「Heaven VII」をご存じでしょうか。
このイヤホンが発売したのは「2014年12月」で、記事執筆時点(2022年)では発売からおよそ8年が経過しています。
かなりの時日が経過していますが、2022年にもなって「Heaven VII」を愛用している私の狂信的レビューをお届けします。
本体から漂うラグジュアリーさ、芸術品というべきか

Heaven VIIのデザインは特徴的で、4つの三角形が1つの四角形を形成しており、それを配列する…。イヤホンというよりも、アクセサリーのようなデザインです。
美しくてつい見とれてしまいます。なんというか、工芸品のようです。本当に上品で美しい。
Heavenシリーズの中でフラグシップに位置するモデルなのにも関わらず、リケーブルには非対応です。
個人的には、HeavenやPiano Forteシリーズ、そしてFI-BA-SSなどの「Final audio design」時代のイヤホンはケーブルも含めて完全体であって、リケーブルは邪道で「製品本来の音ではない」という思想があったのではないか?と解釈しています。実際はわかりませんけどね。
天国を表したかのように音が広がる
音について、製品名の通り「天国」のような表現をします。多くのイヤホンを聴いてきましたが、「Heaven VII」の鳴り方は他に例をみません。言い換えれば、独特で不思議な音です。
これだけでは抽象的なので詳しく書いていきます。試聴環境はiPhone 6, NUAL Magic Ear+です。
eufonius – パトリ
ボーカルが細く、繊細。楽器の鳴りも優秀で、特に弦楽器やピアノ音の響きにはウットリしてしまいます。低音も出ており、全体的にバランスも良好です。空間表現なのですが、縦方向に音が自然と弾けて横に広がっていきます。
この空間表現は「Heaven VII」と「Heaven VIII」、そしてプロトタイプにあたる「Lab Ⅰ」でしか味わえません。
eufonius – 遥かな日々
序盤の、ほぼボーカルだけの所では声の透明感が高く、まるで澄んだ水のようです。ただし、澄んでいるからといって、高解像度ではありません。2014年の製品でなおかつ1BAなところもあるため、そこは割り切る必要があります。
ユリィ・カノン – 誰かの心臓になれたなら
最後に情報量が多く、テンポの速い曲です。他のイヤホンだと分離が強く、色々な音が聴こえるのですが、このイヤホンだと聴こえないこともしばしば。逆をいえば、まとまりがあって聴きやすい音ですね。
Final audio designの遺産、唯一無二な逸品

Heavem VIIは2014年発売の製品で、パッと見では「ただの型落ちハイエンド」です。相対的評価を行えば、現行製品には劣るところばかりでしょう。
しかし、1つだけ拮抗、いや、優れているところがあります。それは「表現力」です。本文中で何度も触れていますが、表現力だけは唯一無二という言葉が似合います。

正直、無理やり「いいところ」を見つけて、付け足しているように思う方もいるかもしれません。これは嘘のような本当の話です。猜疑的に読まれても仕方ないでしょう。ただ、私は逸品だと思っていますし、少しでも気になるのなら試聴してみてください。とはいっても、万人に合うとはお世辞にも言い難いですが。
もしもその時は、Heaven VIIが鳴らす、音の「天国」をどうぞご堪能あれ。風化しない、逸品を五感に刻みつけ、他のイヤホンにはないような、音のよさを、どうか体感してもらえたらと強く願います。
2020年に執筆した記事でも似たようなことを書いています。気になった方は併読してもらえると幸いです。

色々なオタクやってます
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